片付けの定位置が決められない｜片付く置き場所の決め方

「片付けよう」と思って動き出しても、どこにしまえばいいか分からない物が多くて手が止まってしまうことはありませんか。

片付けの定位置が決められないままにしていると、「とりあえずここに置いておこう」という物が増えやすく、気づいたらテーブルや床が物でいっぱいになります。

反対に、物の置き場所（住所）が決まっていると、「使ったらここに戻す」という動きがしやすくなり、同じ時間でも片付けの負担が軽くなると感じる人が多いです。

この記事では、片付けが苦手な人や忙しい人でも取り入れやすいように、片付く置き場所の決め方をやさしくまとめていきます。

完璧を目指すのではなく、「これなら続けられそう」と思えるやり方を見つけるための一つの考え方として読んでみてください。

片付けの定位置が決められないのは普通のことです

まず知っておきたいのは、「片付けの定位置が決められない」のは、特別なことではないという点です。

仕事や家事、育児などで毎日やることが多い中で、物の住所を考える時間や気力が残っていない人も珍しくありません。

また、実家の習慣やこれまでの暮らし方の影響で、「どこにしまうかを意識したことがあまりない」というケースもよくあります。

だからといって、「自分はだらしない」「片付けに向いていない」と決めつける必要はありません。

ただ単に、置き場所を決める考え方やコツを教わる機会が少なかっただけということも多いです。

この記事では、性格やセンスよりも、「仕組み」や「ルール」の作り方に注目して解説していきます。

ポイントを押さえて少しずつ変えていくことで、片付けが今より楽に感じられる可能性があります。

片付けの定位置が決められない主な原因

まずは、「なぜ片付けの定位置が決められないのか」を知ることが大切です。

原因が分かると、どこから手をつければ良いかが見えやすくなります。

物の量が多くて、入りきる場所がない

収納スペースに対して物の量が多すぎると、そもそも定位置を作る余裕がありません。

引き出しの中がすでにぎゅうぎゅうの状態では、新しい置き場所を決めるのはむずかしくなります。

この場合は、「どこにしまおうか」より先に「何を手放すか」や「どこまで持つか」を考える必要があります。

使う場所としまう場所が離れている

よく使う物なのに、しまう場所が遠かったり、高い位置や低い位置だったりすると、戻すのが面倒になりがちです。

その結果、「あとで片付けよう」と机やカウンターの上に置きっぱなしになり、散らかって見えます。

置き場所を決めるときは、使う場所の近くで、出し入れが少ない動きで済むかどうかがポイントになります。

家族や同居人とのルールがあいまい

家族や同居人と一緒に暮らしている場合、同じ物を誰がどこに戻すかが共有されていないと、「誰かが片付けてくれるだろう」と置きっぱなしになりやすいです。

本人は「片付けの定位置が決められない」と感じていても、よく見ると家族全員でルールを決めたり、話し合う機会がなかっただけということもあります。

完璧を目指しすぎて決められない

「せっかくなら一番使いやすい位置にしたい」「見た目もすっきりさせたい」と考えすぎて、決めきれなくなることもあります。

実は、物の定位置は最初から完璧に決める必要はありません。

一度決めて、使いながら少しずつ調整していくという考え方の方が、結果的に暮らしにあった定位置になりやすいです。

定位置を決める前にやっておきたい3つの準備

いきなり置き場所を決めようとすると、悩みやすくなります。

その前に、次の3つの準備をしておくと、定位置が決めやすくなります。

① よく使う物とあまり使わない物を分ける

まずは、同じジャンルの物をテーブルなどに出して、「よく使う」「たまに使う」「ほとんど使わない」に分けてみましょう。

よく使う物から優先して定位置を決めると、普段の生活のストレスが減りやすくなります。

② 家の中をざっくりゾーン分けする

家全体を細かく考えるのは大変なので、リビング・キッチン・玄関・寝室・子どもスペースなど、ざっくりとゾーン分けして考えると整理しやすくなります。

「この物はどのゾーンの住人にするか」を決めるイメージです。

③ 「共有の物」と「個人の物」を分けて考える

リモコン、文房具、薬、調味料などは家族で共有することが多いです。

一方で、財布やスマホ、仕事道具などは個人ごとに持つ物です。

共有の物は、家族みんなが戻しやすい場所を優先し、個人の物はそれぞれのスペースを決めると、定位置の整理がしやすくなります。

片付く置き場所の決め方｜5つのステップ

ここからは、実際に定位置を決めるときの手順を、できるだけシンプルにまとめていきます。

片付けの定位置が決められないと感じている人は、すべて完璧にやろうとせず、気になったステップだけ試してみるのも一つの方法です。

ステップ1：定位置を決めたい物を一か所に集める

まず、「置き場所を決めたい物」だけを一か所に集めます。

例えば、リビングの細々した物なら、リモコン、文房具、ハンドクリーム、爪切り、体温計などをテーブルに出していきます。

このとき、ほかのジャンルの物は混ぜない方が考えやすくなります。

ステップ2：グループに分ける（カテゴリー分け）

集めた物を、次のようなグループに分けてみましょう。

• 使う場所が近い物（ソファ周り、ダイニングテーブル周りなど）
• 用途が似ている物（文房具セット、ケア用品セットなど）
• 一緒に使うことが多い物（リモコン＋メモ帳＋ペンなど）

一緒に使う物を一つの箱やカゴにまとめてしまうと、後から定位置を決めやすくなります。

ステップ3：使用頻度と動線を考えて候補を決める

次に、「どこなら戻しやすいか」をイメージしながら候補を考えます。

目安として、以下のような位置づけが分かりやすいです。

使用頻度	おすすめの置き場所の高さ・位置
ほぼ毎日使う	立ったときの腰〜胸の高さ。動線の近く。
週に数回使う	少しかがむ、または少し手を伸ばす位置。
月に数回・季節物	高い棚や押し入れの中など、少し手間のかかる場所。

「よく使う物ほど、取り出しやすい位置に」「あまり使わない物は奥や高い場所へ」という考え方を意識すると、片付けやすさにつながりやすいです。

ステップ4：ラベルで「迷わない仕組み」を作る

置き場所が決まったら、ラベルを付けて見える形にしておくと、家族も自分も迷いにくくなります。

ラベルライターがなくても、マスキングテープとペンで十分です。

文字が苦手な子どもには、簡単なイラストやシールで「おもちゃ」「本」などと分かるようにする方法もあります。

ステップ5：「とりあえず2週間試す」と決めてみる

定位置は、一度で完璧に決める必要はありません。

まずは2週間〜1か月ほど試してみて、「戻しにくい」「取り出しにくい」と感じたら変えるという前提で考えると、気持ちが楽になります。

定期的に使い心地を見直しながら、少しずつ自分や家族に合った定位置に育てていくイメージで取り組んでみてください。

場所別｜片付けの定位置が決められない時の具体例

ここからは、「どこに置けばいいか迷いやすい場所」を例に、定位置の考え方を紹介します。

自分の家にそのまま当てはめるのではなく、暮らし方に合わせてアレンジする前提で読んでみてください。

玄関：毎日使う物を一つの「出かけるセット」に

玄関は物が集まりやすい場所です。

鍵、ハンコ、マスク、エコバッグ、交通系カードなど、外出時に使う物はトレーや小さなカゴにまとめて「出かけるセット」にしてしまうと管理しやすくなります。

フックを付けて鍵を掛けるなど、「置く」「掛ける」を組み合わせるのも一つの方法です。

リビング：細かな物ほど「ジャンルごとに箱でまとめる」

リモコン、文房具、薬、充電器など、リビングに集まりやすい細かい物は、箱やケースでジャンルごとにまとめると散らかりにくくなります。

• リモコン用ボックス
• 文房具セット（ハサミ、ペン、テープ）
• よく使う薬と体温計セット

「箱ごと定位置に戻す」イメージにすると、家族も元の場所に戻しやすくなります。

キッチン：よく使う道具から定位置を決める

キッチンは道具が多い場所なので、全部を一度に見直そうとすると大変です。

フライパン、よく使う鍋、菜箸、まな板など、ほぼ毎日使う物から優先して定位置を決めていくのがおすすめです。

コンロ周り・シンク周り・作業台周りなど、使う場所の近くで、取り出しやすい位置を意識してみてください。

紙類・郵便物：一時置き場と「後で仕分ける場所」を分けておく

チラシ、明細書、学校からのお便りなどの紙類は、そのままテーブルに置いてしまうと、あっという間に山になります。

次の2つの置き場所を作っておくと、散らかりにくくなります。

• 今日届いた紙をとりあえず入れる「今日の紙ボックス」
• 後で保管する物をしまう「書類ファイル・ファイルボックス」

週1回など、タイミングを決めて「今日の紙ボックス」を見直す習慣を付けると、溜まりにくくなります。

子ども部屋・おもちゃ：子どもが片付けやすい高さに

おもちゃや絵本の定位置は、大人の目線ではなく子どもの手が届く高さを基準に考えるのがポイントです。

箱やカゴに「くるま」「ぬいぐるみ」「ブロック」などとラベルを貼ったり、写真やイラストを付けると、小さな子でもどこに戻せば良いか分かりやすくなります。

子どもが自分で戻せるようになると、大人の片付けの負担も少しずつ軽くなる可能性があります。

片付けが苦手・忙しい人向け｜続けやすい定位置の工夫

「片付けの定位置が決められない」と感じる人の中には、自分を「ズボラだから」と表現する人もいます。

ですが、工夫次第で、少ない手間で戻せる定位置を作ることはできます。

扉を開けなくても片付けられる場所を増やす

扉付きの収納は見た目はすっきりしますが、「開ける」「しまう」の動作が増える分、少し面倒に感じることもあります。

よく使う物は、オープン棚やワゴン、フックなど「出し入れ1〜2動作で済む場所」を定位置にすると、戻しやすさが変わります。

ワゴンやカゴを「移動できる定位置」として使う

メイク用品、勉強道具、作業道具など、使う場所が日によって変わる物は、ワゴンや持ち手付きのカゴにまとめると便利です。

ワゴンそのものを定位置と考え、「使ったらワゴンに戻す」習慣をつければ、細かい物の行き先を一つずつ考えなくて済みます。

「一時置きボックス」を決めておく

帰宅してすぐ片付ける余裕がないときや、来客前などでバタバタしているときは、一時置きボックスが役立ちます。

とりあえずそこに入れておき、落ち着いたタイミングで定位置に戻す前提にすることで、床やテーブルの上に物が広がりにくくなります。

ただし、一時置きボックスをそのまま放置すると結局散らかってしまうので、「週末に見直す」など、自分のペースで中身を確認する日を決めることが大切です。

家族・同居人と共有できる定位置ルールの作り方

自分だけがどこに何があるか分かっている状態だと、家族から「〇〇どこ？」と聞かれるたびに探す負担が増えます。

定位置を家族と共有することで、片付ける人が一人に偏りにくくなります。

共有スペースは「ここからここまではみんなの場所」と決める

リビングやダイニングなど、家族みんなが使う場所は、「この棚のこの段は家族共通の物」「ここは個人の物は置かない」などの目安を決めておくとスッキリしやすくなります。

個人の物は各自の部屋やボックスにまとめるなど、共有スペースに私物を増やしすぎない意識も役立ちます。

ラベルは家族全員が分かる言葉で

ラベルに専門的な言葉や略語を書いてしまうと、家族が読み取れず戻せないことがあります。

誰が見ても分かるように、「薬」「文房具」「書類」など、シンプルな言葉を使うのがおすすめです。

ルールは一度決めて終わりではなく、定期的に見直す

生活スタイルや家族構成が変わると、使いやすい定位置も変わっていきます。

一度決めたルールが合わなくなってきたと感じたら、「どうしたら片付けやすいか」を一緒に話し合って更新することが大切です。

誰かを責めるのではなく、「もう少しこうしたら楽になりそうだね」という視点で話すと、協力が得られやすくなります。

片付けの定位置が決められないときによくある疑問

Q1：物の定位置がどうしても決まらないときは？

A：一度で決めようとせず、「仮の定位置」を作るのがおすすめです。

とりあえず候補の中で一番マシだと思う場所に置いてみて、2週間〜1か月ほど使い心地を試してみましょう。

その上で、「ここは取り出しにくい」「家族が戻しにくそう」と感じたら、別の場所に変えていけば大丈夫です。

Q2：物が多すぎて、どこから手をつければいいか分かりません

A：家全体を一度に片付けようとすると、途中で疲れてしまうことが多いです。

「玄関の棚一段だけ」「リビングのテーブルの上だけ」など、範囲を小さく区切るところから始めてみてください。

その中でも、毎日目に入る場所を優先すると、変化を感じやすくなります。

Q3：狭い家・ワンルームで収納が足りない場合は？

A：収納が少ない場合は、物の量を見直すことが特に重要になります。

よく使う物と、しばらく使っていない物を分けてみて、「今の暮らしに本当に必要かどうか」を少しずつ考えていくことが一つの方法です。

それでも難しい場合は、棚を追加したり、ベッド下やすき間収納などを活用するやり方もありますが、無理に詰め込みすぎると出し入れが大変になるので、様子を見ながら検討してください。

Q4：片付けのやる気が続きません

A：やる気は波があるので、「いつでも高い状態を保つ」のはむずかしいです。

やる気に頼るより、毎日5分だけ・寝る前だけ・週末だけなど、短い時間でできる習慣を決めておくと続けやすくなります。

「今日はこの引き出しだけ」「このカゴの中だけ」と小さな目標にすると、達成感も得やすくなります。

まとめ｜定位置は少しずつ育てていけばOK

「片付けの定位置が決められない」と感じるのは、能力や性格だけの問題ではありません。

物の量、収納スペース、家族構成、生活リズムなど、さまざまな条件が重なって、置き場所が決めにくくなっていることも多いです。

この記事で紹介したポイントをあらためてまとめると、次のようになります。

• よく使う物とあまり使わない物を分ける。
• 使う場所の近くで、動作が少なく済む位置を定位置にする。
• ラベルや箱で「迷わず戻せる仕組み」を作る。
• 一度で完璧に決めようとせず、仮の定位置から試していく。
• 家族や同居人とルールを共有し、定期的に見直す。

定位置は、一度決めたら変えてはいけないものではありません。

暮らしの変化に合わせて、少しずつ調整していくことで、自分や家族にとって心地よい配置に近づいていきます。

なお、この記事の内容は、片付けや収納について考えるときの一つの考え方です。

実際に行動するときは、ご自身やご家族の体調、生活スタイル、住まいの状況などに合わせて、無理のない範囲で取り入れるかどうかを判断してください。

「全部やらなければ」と思いすぎず、できそうなところから少しずつ試してみてくださいね。